留学計画にかかる政府発表に対して、TICADに引き続き、批判が出ているようだ。
こうした短絡的な非難に対しても、私は非常に憂慮する。報道自体、留学政策そのものについての現状や課題、趣旨はじめ説明が不足しているようにも思う。
日本は、国際社会において、投資はもちろん、高度人材の獲得競争においても劣後している。安全保障にも関わる。これを巻き返すべき施策に非難することは、日本自体の力、経済力も国際政治力も収縮させ、格差拡大にも加担していること、この現状認識を一致させるべきだ。
留学には、いくつかの効果があるけれども、今や、各国の大学大学院や研究機関が、世界各地からの人材を集め先端の情報を交換し、その上に技術等発展させる場をつくれるかどうか、が重要となっている。先端のアリーナから落ちないために、アメリカもEUも、各地からの人材獲得競争に必死に向き合い、そして、そのためにも、留学生が実ある留学できるために必要な環境や支援体制のあり方を追求している。そして、その集められた知を経済や社会の発展に資するようにすることに貪欲だ。そして、その人材はそのまた次に進路を進めていき、その場は、留学先現地もあるし、他地域もあるが、出身地に戻る場合には、留学受入国にとってはソフトパワーとして、外交にも資する。
今、日本は、世界各地の学生や社会人などに取って、魅力的な留学先として選択されていないことに危機感を覚えるべきなのだ。国際社会のトップレベルの群は、アメリカやEUを目指している。シンガポールにもトップレベルの大学があるし、サウジアラビアなどには、欧米の大学の分校が開校され、そうした分校も経由しながら、学生は先端へ、世界に出ていっている。
日本の優秀な頭脳も出ていっているが、日本は、国際社会からのトップレベルに取って、個人のキャリア形成の観点からも魅力的とは映っていない。
実際、日本に来ていた留学生を企業が採用を敬遠する実態がある。ダイバーシティなくして発展はないといいながら、日本の企業文化という言葉を持ち出して、採用を忌避し排除している実態がある。
日本の内向き姿勢によって、自らの首を絞めていることに気づくべきだ。